愛しい人へ


「ああー寒い寒い」


健くんの仕事用の大きな車に乗り込むだけでも寒い。


未希はスカートだから余計に寒そうだ。


「まったく、寒いのにスカート短くすることないでしょ?」


健くんが父ちゃんのように未希を注意する。


「いいの!長いのださいもん!」


「まったく女になりやがって」健くんは運転しながら言う。



「どっちの学校のほうが近いんだっけ?」


「俺、駅まででいいわ」


「あ、そういえば拓海は電車通学だもんな。
 俺、そんなに遠くまでガソリン無駄にしたくねーしな(笑)」



そんなわけで、俺は駅で降ろしてもらった。



「いってらっしゃーい!」未希が窓から手を振る。


「おい、未希。寒いから窓あけんなよ!」


健ちゃんのあせった声が車の外から聞えた・


俺は苦笑いした







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