愛しい人へ
「今日、タケも来ればよかったのにな」
俺は雅人に言った。
「ああ。あいつ今日、弟の診断だろ」
「ああ。そうか」
タケには歳の離れた弟がいて
体が弱い。
いつもタケが定期的に病院に連れて行っている。
「大丈夫なのかね・・・」俺がぼそっと言った。
「なに?そのこの弟病気持ってるの?」
姉ちゃんは初めて聞く話だから乗ってきた。
「そうみたいっすよ。俺もあんまり聞いたことないんすけど、
小1の弟がいて、体が弱いみたいです」
「かわいそうね・・・。あたしも俊平が生まれてから
そういう話には敏感になっちゃって」
姉ちゃんは悲しそうに言った。
タケもああ見えて苦労している。
俺と雅人はタケが弟のことを話してくれる日がくるまで
こっちからは聞かないつもりでいた