愛しい人へ
「そういえばさ・・」
背を向けて寝ている俺に雅人が言った。
「夏木、大丈夫なの?」
「なにが?」
「なにがって彼氏とだよ」
「なに(笑)あいつ全然、順調だよ」
俺は笑った。 なにを心配してんだろ?
「いや・・・だってあいつと彼氏がすごい喧嘩してるって・・・」
雅人が気まずそうに言った。
「え?」俺は初耳で思わず振り返った。
顔が近っ!!!
俺は黙って起き上がって
寝ている雅人の横にあぐらをかいた。
「まじでなに、その話?」
俺は少し荒っぽく聞いた。
「いや、なんかクラスの男子が見たって言うんだけど、
駅で彼氏に怒られたり、捨てゼリフ吐かれて置いてかれてたりしてるところを」
「そんなの作り話なんじゃないの?」
「いや、俺も昨日みたんだよね。」
「は???」俺は大きな声を出してしまった。
「どこでだよ?」
「駅だよ。なんか彼氏がめっちゃキレてて、
夏木は下向いてた」
「で、お前どうしたの?」
「え、俺?!」雅人は驚いて俺を見上げる。