愛しい人へ
次の日、俺と雅人は早めに家をでた。
少し不機嫌な俺と雅人は
わざわざ梨絵の家の最寄り駅までいった。
雅人は俺に言った。
「なんか拓海にだけは絶対に言わないでほしいって。
あいつお願いしたみたいだぜ」
俺はその言葉でますます機嫌が悪くなった。
「ここで待つの?」
雅人が少し困った顔していう
「先行っててもいいぞ。」
「いや、待つよ」
雅人は優しく言ってくれた。
ふたりは改札から離れたところにある柱に
寄りかかって待っていた。
俺は昨日寝れなかった分、
電柱に寄りかかりながら寝てしまった。
すると・・・・
「おい!」俺をゆする雅人。
「は!」俺は待ってることを思い出し目を覚ました。
「来たよ」雅人が指をさす。
遠くから冬なのにスカートを短くして
ぶあついマフラーをぐるぐるに巻き、
セミロングの髪をなびかせている梨絵が見えた。
梨絵はポケットに両手をつっこみ
寒そうに下を見てあるいている。
まだ遠いので 近くにくるまで眺めていた。