愛しい人へ
「この男ら誰なんだよ」
陸は梨絵の腕を思いっきり引っ張った。
通勤者が、ジロジロと2人を見ている。
「・・・・ごめんね」
梨絵は小さくそういった。
口元をマフラーに隠している。
「は?なにお前?謝るようなことあるんだ」
「ないよ・・・・」
「おい、お前やめろよ」
俺は陸の肩をつかんだ。
「あ?」 喧嘩腰で睨んでくる。
「俺ら、こいつと待ち合わせとかしてねーし。
しかも俺らコイツより先輩だし」
「・・・・・・」
陸は自分より年上という言葉に反応したのか・・
急に睨むのをやめた。