愛しい人へ


「帰りにここで待ってるからな」


陸は梨絵を睨んでから、離れていった。




「じゃあ行こうぜ。雅人」



「え?ああ。夏木は?」


「行くぞ」


俺は強引に雅人を連れてホームへといった。




「なんで置いていくんだよ?
 夏木のこと待ってたのに」



「・・・・・」


俺は遠くを眺めたまま答えなかった。





梨絵が暴力を受けていることは確かだった。


あの様子からすると、

梨絵はやられっぱなしだろう。


だけどアイツは陸が好きだ。

好きなら暴力もいいのかよ。


あいつバカなんじゃねーの。




梨絵を守ってやりたい。


あいつから引き離してやりたい。


だけど、あいつが俺に黙ってたことが

どうしてもムカつく。


拓海はそんな気持ちと格闘していた
< 34 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop