愛しい人へ
「はー。終わった。終わった。」
雅人があくびをする。
「よしっ!じゃあ帰ろう!」と梨絵は笑顔でいう。
4人は入学してからずっと仲が良い。
学校でもこの4人でいることが多かった。
駅まで行くと、路上ライブをしている高校生がいた。
「ねーねー!あれ見て良いー?!」
返事を聞くことなく、梨絵はすっ飛んでいった。
「まじかよー。俺、もう帰りたいよ...」雅人がぐずる。
梨絵はいつのまにか、先頭に立っている。
俺は梨絵のほうへ行こうとした。
すると、
「俺ら先帰るわ」とタケが言った。
「なんで?」俺はきょとんとした。
「なんとなく(笑)俺、空気読めるからみたい」タケが笑った。
「は???」
「だーかーら、夏木ってお前が好きだからさ。
ふたりっきりにしてやるよ!」
雅人が得意そうな顔をする。
「はー??意味わかんねー」俺がそういうと、
タケも雅人も「じゃ!」と言って駅にむかっていった。
なんかあいつら勘違いしてんじゃん(笑)
俺はそう思いながら、梨絵のとなりにいった。