愛しい人へ
「女にとって、彼氏に暴力うけるっていうのは
誰にだって隠しておきたいものだろ?」
タケは拓海に言い聞かせるようにいった。
今の拓海は感情的になってると思ったんだろう
「もしさ、拓海が万引きしたとするよ?」
「縁起わるっ!もっとマシな例ないのかよ(笑)」
タケが雅人にツッコむ。
「細かいことは、いいのいいの(笑)
それで、夏木に知られて嫌われたらどうしよう・・
とか、考えちゃわない?」
ふたりの言葉が俺の頭をぐるぐる回る。
「あー。嫌うわけないじゃん。
夏木バカなんじゃねーの」
俺は頭を抱え込んだ。
「拓海しかいないよ。
夏木をあの暴力彼氏から引き離すのは」
タケと雅人が俺の背中をポンッと叩いて、そう言った。