愛しい人へ



ベッドに横になり

ボーとしている梨絵がいた。



「夏木?」


俺と目が合った。



梨絵は体を起こした。



「拓海・・・・」



俺を見ると、梨絵の腫れた頬に涙が伝った。



「ごめんね。ごめんね・・・」


梨絵は何度も言った。





しばらく俺は、

そんな梨絵を目の前に動くことができなかった。



「もうあたしに関わらないほうがいいよ」




梨絵は嗚咽混じりにそう言った。
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