愛しい人へ
俺がリビングに戻ると、
おばさんが「どうでした?」と聞いてきた。
「もう大丈夫です。おばさん行ってあげてください」
「ありがとう・・」おばさんは俺の手をしっかり握り締めた。
「先生も行ってあげて」
「おう。ありがとな、本当に」
「じゃあ俺、帰ります」
「送っていくぞ?」
俺は先生の気遣いを断った。
「ひとりで帰れます」
俺はおばさんの激励を玄関でもう一度受けた。
「じゃあ失礼します」
俺も頭をさげて、玄関をしめた。
もう外は真っ暗だった。