愛しい人へ

俺がリビングに戻ると、


おばさんが「どうでした?」と聞いてきた。




「もう大丈夫です。おばさん行ってあげてください」



「ありがとう・・」おばさんは俺の手をしっかり握り締めた。



「先生も行ってあげて」



「おう。ありがとな、本当に」




「じゃあ俺、帰ります」



「送っていくぞ?」


俺は先生の気遣いを断った。




「ひとりで帰れます」




俺はおばさんの激励を玄関でもう一度受けた。




「じゃあ失礼します」



俺も頭をさげて、玄関をしめた。




もう外は真っ暗だった。
< 63 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop