ディア フレンド
「はい、掴まれよ。」

恭也くんは笑顔で手を差し伸べてくれる。
凄く優しいんだな・・アタシは手を掴み、ぐっと
身体に力を入れる。なんとか身体を起こすことが出来た。
紗羅も苦笑いしていた。アタシは少し笑ってみせる。
すると、紗羅の口元が動く。読唇術しろと?・・

「(む・り・す・ん・な・
調・子・の・り・す・ぎ)」

アタシは両手を合わせて、軽く頭を下げる。
紗羅は呆れたように口元を緩ませる。そして、練習を再開した。

「お前まだ跳べる?
もう少しやってみよう。なんかお前センスある。」


アタシはそれからリレーの練習まで延々と跳ばされてた。
結局、135センチまでは跳ぶことが出来た。
それからリレーの練習をさせられる。
アタシは2走に決定したようだ。ということは・・
直線を走るのか・・直線は得意じゃない。
曲線のほうが面白い。でも文句も言えず・・・

それから終了時間まで走らされる。
何回もバトンが合わない。1走の紗羅とは合うのに
3走の前崎さんとは合わない。なんでだろうか・・・
結局時間まで合わなかった。明日に持ち越しかな・・








「あんた凄いね。いきなり135センチ跳ぶんだもん。
絶対優勝できるよ。中総体。」


「でも、岩崎中の人155センチ跳ぶんでしょ?」


「麻由? 大丈夫、今怪我してるから。」

アタシはとりあえず135センチとはどのくらいのレベルか
気になった。全然下なのかな・・・

アタシは紗羅と別れた後も考え込む。
はぁ・・・ガチャ。

「ただいま~」


「お帰り。杏南ちゃん、部活どうだった?」

ハヤテ様が出迎えてくれる。
なんか凄く久しぶりに見た。なんか嬉しい。
お兄ちゃんに会ったみたいで・・元気かな・・?


「今日は135センチ跳べました。」


「凄いねぇ・・・聖みたいだな。アイツも
いきなり145センチ跳んだって言ってたもんな・・」
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