ディア フレンド
「私との修行は覚悟が必要なのです。
止めます? 最終判断は杏南様が決めて下さい。」


ここまで来て引き下がれない。
でも大事な物を失う辛さ。アタシは揺れてしまう。
有李栖も心配そうにアタシを見つめる。
ジュシフは一切動揺していない。
何か勝てる秘策があるのだろうか・・


「杏南様、もう一度聞きます。
私との修行及び審判・・・行ないますか?」


「―やるわ・・」


「杏南・・ゴメンなさい。巻き込んでしまって・・
これは絶対乗り越えないといけないの・・」


「いい。アタシジュシフに勝つ・・・
そして―、友達になりたいの。」

ジュシフは一瞬顔を歪める。
でも、すぐ表情を戻す。まっすぐにアタシを見つめる。


「後戻りは出来ません。私は主候補であっても
手加減は致しません。本気で来て貰います。」


「勿論、ジュシフの代償はどうすればいいの?」

「杏南が決めていいの。ここで宣言してもいい。
しなくてもいい、」



代償の選択・・・アタシが決めるのか。
アタシは相手が何かを失って悲しむのはイヤ。
でも、アタシが1番今、気になること―。


「アタシが勝ったら宣言する。
負けたら代償は払う。それでいい?」

「はい。では私も勝敗が着いたら宣言します。
では審判を開始致します。」


ジュシフは胸の前で両手で拳を作る。
そして左右にスライドさせる。すると、
ジュシフの手から狗獣刃(こうじゅんじん)より
1回り小さい刀が現れる。大きさは小さいが刃は狗獣刃より
鋭い刃をしている。
あれに触れたら一瞬で深いとこまで切れてしまう。

ジュシフは刀を構える。
目は鋭くアタシを主候補ではなく獲物として見ている。
アタシも本気で行かないといけない。
狗獣刃を鞘(さや)から抜き、構える。

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