ディア フレンド
パチッ。

アタシは目を覚ます。
あまりにもリアルな夢。
狗獣刃をお姉ちゃんに向けた感覚、
抱き締められた感覚。全て鮮明に覚えている。
枕元の携帯に手を伸ばす。

パカッ。携帯の光が目に勢いよく入る。
眩しい・・・7時・・か。
今日は部活が休み。顧問の先生が会議のため
急遽休みになったのだ。
だからリレーメンバーで自主練をするのだ。

確か約束は8時30分。
そろそろ身体起こさないと・・倦怠感が
残るがベットから起き上がる。
何故かいろんな音がする。
何かを切る音、誰かが走る音、玄関が開く音。
朝から慌ただしいな・・・


軽く髪をとかし、ジャージに着替える。
競技場での練習だからスパイクもゴム用に変えといた。
エナメルに入れ、タオルも多めに入れる。
後は、髪を結ばないと・・
さすがにこの長さだと邪魔だ。

いつものようにポニーテールにする。
さて、ご飯食べよう。今度から朝ご飯は有李栖の係になった。
ガチャッ。バタバタバタっ。
まだ誰か走ってるのかな。

大広間に行くと渉と有李栖、ハヤテ様、剛さんが
座って食事をしていた。
珍しいみんな揃ってるなんて・・
アタシは渉の隣に座る。



「おはよう。杏南、
今日自主練行くんだろ?」

「う、うん。
何で知ってるの?」


「えっ・・紗羅から聞いたんだ。」

なんか挙動がおかしい。
まあ、気にすることでもないか・・
アタシは目の前にある。ご飯と鮭を食べる。
みんながアタシを見てる。
なんか食べづらい・・みんな挙動がおかしい。


さっさと食べ、アタシはエナメルを持って立ち上がる。
時計を確認する。まだ8時か・・
確か学校から歩いて直ぐだから現地集合だっけ。
ちょっと急がないと。

「行って来ます。11時くらいに帰って来るから。」


「行ってらっしゃい。」

有李栖に玄関まで見送られる。
少し違和感が残るが・・まあいいか。

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