ディア フレンド
杏南side

「はいっ。」

アタシはバトンパスの練習をしている。
イマイチ合わない。1歩増やすと遠いし、
減らすと近すぎるのだ。
0・5歩も試してみた。でもなんかパシッと
行かないのだ。はぁ・・・

「やっぱ近いんじゃない?
でも本番では絶対加速するから、
少し遠めでも大丈夫だと思うケド?」


「でも海來(みらい)。
安全策のほうが確実だと思うケド?」

「だってさっきのじゃ近過ぎ。
杏南はどう? 遠めでいい?」


「渡すほう的には遠めでもいい。
本番の空気はアタシまだわかんないけど
多分相手がいれば加速するかもしれないし・・」



「あたしもそう思う。こいつ絶対
スピード上がると思う。
極度の負けず嫌いだから♪」


「大きなお世話。しょうがないでしょ。
負けるの嫌いなんだもん。」


それから何回か紗羅と合わせ、
一応、合うようにはなった。海來とは合うんだけど・・
それからそれぞれの種目の練習をする。
高マットはある。あれ? さっきまでなかったよね・・
高マットの横でストレッチをする。

1人でやるの怖いな・・
少し不安になる。でも1人に慣れないと。
本番は1人なんだ。そう思いながらホッピングもする。

すると、ゆっくり誰かが近付いて来る。
男の子。誰だろう・・他中の人かな・・
その人はレーンを渡り、こっちに走って来る。

段々姿が見えてくる。まだ顔はよく見えない・・
その人は手を振る。えっ・・知り合い?

「杏南じゃん。お前も自主練?」


「あっ、恭也くん。うん、リレーメインだけど。」


「へえ。俺は本職。リレーは負けねえから・・」


そう言えば恭也くんは4走。
凄い足速いんだ。100mとかやんないのかな。
恭也くんは座り込み。ストレッチをする。
アタシはとりあえずバーの高さを135センチにする。
なんか上手く上がんない・・
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