ディア フレンド
「大丈夫か?」

恭也くんが手伝ってくれる。
軽々とバーを上げてくれた。慣れてるな・・

「ありがと。跳ぶから見てて。」


「ああ、」

アタシは歩数を合わせ、1回深呼吸する。
そして、軽快に走り出す。
トン、トン、トントン・・・ポンっ。

勢いよく跳ぶ。すると、カランカラン。
ドスッ。マットに落ちる。バーが落ちていた。
あれ? 前は跳べたのに・・・
恭也くんにかっこ悪いとこ見せちゃった・・

少し顔が紅潮する。
恭也くんはアタシのとこに駆け寄って来る。
心配そうにしている。

「大丈夫か? えっと・・
もう少し腕見て跳んだほうがいい。
少し緊張してたんじゃねえか?」

笑顔で手をアタシの頭に乗っける。
急に頭を撫でられた。凄く恥ずかしい///
恭也くんは見てろよ、とバーの高さを175センチに上げる。
こんなに高いの? アタシの背なんて軽々跳べちゃうんだ・・
恭也くんは歩幅を調節し、定位置立つ。
アタシは横に移動する。恭也くんはフッと笑みを浮かべる。

ドキッ// 恭也くんなんかカッコイイ・・
タッ、タッ、タッタッ、タタタ・・ポンッ。
綺麗に弧を描いてバーを軽々跳び越える。
フォーム綺麗・・でもなんか跳び方、お兄ちゃんに似てる・・


ドスッ。恭也くんはすぐ起き上がり、
アタシに向かって笑顔でピースサイン。
無邪気で可愛いな・・
出会ったときはクールで取っ付きにくいと思ってた。
でもあんなに無邪気に笑う人だったんだな・・


アタシはすぐに恭也くんの元に駆け寄る。

「どうだった? 」

「凄く・・かっこよかった。
あんなに軽々跳べて・・いいな」


「いや・・俺もめっちゃ練習したし。
俺目標にしてる人いてさ。その人に近づきたくて・・」

信念があっていいな・・

アタシなんか、ただ家の仕来りだからって

封鬼師をしてる。陸上も誘われたから・・

なんか全部不純なんだよね・・動機が・・


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