ディア フレンド
すると、有李栖は静かに詠唱し始める。アタシは言葉を発することが出来なかった。
何故なら、あまりにも有李栖が真剣だから・・・

「さぁ。私の声が聞こえるなら私の前にお出でなさい。思想の五色、私の声に応えなさい。」

有李栖は静かに目を開ける。すると、有李栖の頭上に金色の羅針盤が浮かび上がる。
そして、白い光が溢れ出す。その中から五人の女の子のシルエットが浮かぶ。
段々はっきり見えるようになって行く。その女の子たちははっきり現れる。


『青嵐の長女ジュシフ、紅蓮の次女オリーク、錦秋の三女トゥラム、白日の四女キイム
黒白の五女ディフカ。思想の五色』

アタシは開いた口が塞がらない。こんなこと・・・・有り得ない・・
目を何度も擦って確かめる。夢じゃないよね・・?
アタシのリアクションを余所に1番背の高い黒髪の女の子が話す。

「有李栖様、お久し振りで御座います。今回は召喚して下さって有難う御座います」

「久しぶり、今回は貴方たちに使役として戦って貰うわ。わたしの隣の杏南が封鬼師として仕事するわ。協力して」

「はい。妹たち、分かった?」


「「「「はい。お姉様!!!」」」」

すると、五人はアタシの目の前でひざまずく。そして、1人が顔を上げアタシに話し掛ける。アタシは戸惑う。なんか、恐縮しちゃうし・・・

「杏南様、今日からわたしたちは杏南様の使役。封鬼師のお手伝いをさせていただきます。なんなりとお申し付け下さい。」

低いけどはっきりとした声。アタシは声を上手く出せない。
これが・・・精霊? ホントに?・・・
アタシの頭の中はパンク寸前だ。でも、信じるしかないのか・・

「杏南、重く考えないで。大丈夫、わたしもこの子たちもいる。」

少しだけ理解が出来たのはこの子たちと友達になれること。まだ実感は涌かないがアタシなりに頑張ってみようと思う。
アタシは1回深く息を吸い、話し掛けてみる。

「あ、よろしくね☆ アタシ頑張るから。」

五人は顔を上げるとそれぞれの笑顔を向けてくれる。ちょっと嬉しい。
すると、有李栖が不意にアタシの首に何かを着ける。
胸元が冷たい。ネックレスを掛けられたみたいだ。



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