ディア フレンド
歌詞が終わり、曲も終わる。
アタシは拍手を送る。
涙でキイムの姿が見えない。

こんなにみんなアタシのために・・
凄く嬉しくて・・こんなサプライズは初めて。

「杏南様!!誕生日おめでとうございます!!」

パンっ!!パパーンっ!!
クラッカーの音が大広間に響く。
遥妃たちが笑顔でアタシの周りに集まる。

「みんな・・ありがとう・・
ぐすっ・・」


「元気出た? 最近元気ないから・・
喜んでくれてよかった・・」


「ほら、ケーキのロウソク消せよ。
なんかガキ臭いけどよ。」


テーブルには大きなケーキが乗っている。
アタシは手で涙を拭うと勢いよく火を吹き消す。

「フー・・みんな・・
ホントにありがとう。大好き・・」


アタシは有李栖に勢いよく抱きつく。
有李栖は驚いている。そして抱き締め返してくれた。

「有李栖大好き・・チュッ。」

アタシは嬉しさのあまり有李栖の頬に
キスをする。有李栖は照れているようにはにかむ。


「渉羨ましい? 
ホッペにキスされちゃった。」


「べ、別に・・まぁ、俺もちょっと
頑張ったから。・・」


「渉いじけちゃってる。
可愛いとこあるじゃんか。杏南してやんなよ?」

「渉? して欲しい?」


「えっ・・して・・・欲しい///」

「―してあ~げない☆」


「俺だけ恥ずかしい思いすんのかよ!!
こんなん言うんじゃなかった・・・」

渉は顔を真っ赤にしてみんなにからかわれてる。
まぁ、アタシもいつもお世話になってるから・・
たまにはいいかな。

アタシは渉の横にそっと立ち、
背伸びをする。そして、

チュッ。
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