ディア フレンド
「そんなの嫌!! だって折角出会えたんだもん。使役とか上下作りたくない!だからアタシに敬語するなとは言わない。アタシの前で『使役』って言葉使わないで!!せめて後輩くらいの関係で良いじゃん☆」


トゥラムはびっくりしている。そして、一滴涙を流す。トゥラムは微笑む。泣きながら微笑むというのは変な表現だが・・・

「ありがとうございます・・・そんな大層な言葉を・・これからも仲良くしていただけますか?・・・」

アタシの答えは決まってる。1回話をしたらその段階で友達なのだからというのはアタシの方程式!トゥラムはもうアタシの友達なのだ。

「もちろんだよ!!トゥラムよろしくねっ☆」

トゥラムは涙を拭うと目一杯の笑顔を作る。アタシたちはもう親友なのだ。
なんか今日はたくさん友達が出来て嬉しい日だ!!

コンコンッ。ガチャ。「杏南、ご飯出来たのです。早く来ないと取られるのですよ」
有李栖がいつもの口調で話してくれて安心した。二重人格なのかな・・・

「うん。行こう、トゥラム!!」

「はいっ♪」

アタシはトゥラムの手を引っ張り大広間に急いだ。有李栖が少し驚いたようにアタシらを見ていた。アタシは気にせず走って行く。


有李栖side

わたしは2人の話を全て聞いていた。人懐っこい杏南だから5人それぞれの精神的障害(トラウマ)を直せると信じていたのだ。
予感は見事に的中。トゥラムと1日で打ち解けてしまった。対した子だ・・・
でも、1番の外傷を負ったジュシフは難しいだろう・・・わたしでも1ヶ月掛かったのだ。この子なら皆を救えるのかもしれない・・・

わたしはタイミングを見計らい今、夕食を作ったように演技をする。

コンコン、ガチャッ。「杏南、ご飯出来たのです。早く来ないと取られるのですよ」
わたしのいつもの口調、これで安心してくれるといいのだが・・・

「うん。行こう、トゥラム!!」

「はいっ♪」

2人は案の定手を繋いで大広間まで走って行く。嗚呼、人をもう一度信じてみよう。
わたしは一筋の光を見たような気がした。わたしもその後を追うように大広間に向かう。やはり、杏南が封鬼師に選ばれてくれてよかった・・・・

この子の笑顔に何度救われたことか・・・


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