ディア フレンド
空には月と星が雲に隠れ、
いつもより暗い。
今日は妖怪【スポク】では
なさそうだ。久しぶりにアイツなのかもしれない。


薔薇園に向かうと暗闇から
不気味な赤い光が近付いて来る。
アタシの心臓がいつもより速度を増していく。

「久しぶりだな、
今日はまた可愛い格好じゃねえか。」


「何しに来たの?
アタシ、明日の為に怪我出来ないの。」


「冷たいこと言うなよ。
まぁ、俺も今日は月が隠れてっから
あんまり魔力ねえんだ、
お前の力がどんくらいに
なったか見せて貰うぜ。」



ヒュンッ。
魅海は一瞬でアタシの目の前に
移動する。
アタシは咄嗟に狗獣刃(こうじゅうじん)で
魅海に斬りかかる。

ギーンっ。
魅海の刃と勢いよくぶつかる。
アタシは何とか体勢を維持している。
相手はまだ余裕の表情。
魔力がいくら上がったからって
男と女の力の差は流石に補えない。


「反射神経は上がったんじゃねえの?
でも、やっぱ女だもんな。
俺の刃、封じるので精一杯だろ?」


「・・・っるさい!!」


魅海を思い切り突き飛ばす。
今まで感じた事の無い
パワーが身体から溢れて来る。
明日の大会はまず後回しだ・・


「やっぱ、貫禄あんな~。
流石だわ。俺も少し本気で
行くからよ。」


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