ディア フレンド
ピカッ!!ゴロッ!!!

勢いよく雷が近くに落ちた。ディフカはびっくりして交差させてた手を両耳に持って行き、耳を塞いだ。

「きゃっ・・・あっ。す、すみませんっ!」

ディフカは慌ててもう一度手を交差させ、呪文を唱える。
でも、動揺しているのか声が震えている。
呪文が上手く唱えられなかったのか何も起きない。
ディフカはもうパニくっていた。今にも泣きそうな顔になる。

「ディフカ。落ち着きなさい・・・雷が苦手なのは分かる。もう大丈夫だから落ち着きなさい・・・」

ディフカは一度深呼吸をすると、再び両手を交差させる。
今度は凛とした声だった。

「我、玄武を従える者。波よ、荒れ狂え。」

先程より勢いよく水柱が飛び出す。そして、大きな玄武のシルエットが浮かび、姿がディフカの頭上に現れる。

「杏南、次は剣は入らない。自分の身体に玄武を取り込んで。」


アタシは言われた通りに両手を広げる。そして、先程の原理で呪文を唱える。
なんか、みんな似た原理なんだ。そう思えば楽に考えられる。

「玄武よ、この身を。我に力を貸したまえ、来々!!」


すると、玄武が雨のようになりアタシの身体に入り込む。
なんか、不思議と力の使い方が分かってくる。アタシは薔薇園に向かって技を出す。

「荒波轟震(こうかごうしん)!!!」

アタシは両手を左右に広げ、水の塊を作る。
水はゴゴッと轟音を立て、大きくなっていく。そして、限界まで膨らみ。
アタシは両手を前に持ってくる。その瞬間、バチンッ!!
何かが切れるように前に凄いスピードで飛んでいく。
そして、大きな木にぶつかって波のように分散していく。
大きな木は物音を立てて倒れる。バキッ。ドドッ、ドオッン。
アタシは力を解放すると、一気に力が抜ける。

「杏南様・・・凄い力・・大技を、始めてなのに・・・」


「杏南、力を制御しないと関係のないとこまで壊してしまう。もう少し訓練する必要がある。ディフカ、あなたももう少し冷静になることを覚えなさい・・・今日は終わり。」

有李栖は早歩きで屋敷に行く。ディフカはその場に泣き崩れる。
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