ディア フレンド
「うわぁああんっ・・・あたしがもっと・・うっ、ううっ・・・」

これ・・アタシの小学校のときと似てる。剣道の大会で負けてもっと冷静になれていれば勝てたのに・・・ってアタシの小さいトキに似てる。
アタシはディフカの前にしゃがむ。

「ディフカ、失敗は誰にでもある。だから、そんなに・・・」


「うるさいっ!!!あんたに何が分かる!!アタシは姉妹で1番弱いんだ!!!どんなに頑張ってもオリーク姉さんやジュシ姉に勝てない。そればかりかキイムやトゥラムに馬鹿にされる・・・そんなあたしの気持ちがあんたになんか分かるわけがない!!!」


そう言ってディフカは走り去ろうとした。アタシは咄嗟に叫ぶ。

「待ちなさいっ!!」

「えっ・・・? 波留華様・・?」

涙声になりながら言う。波留華って・・誰?
アタシは構わず叫ぶ。自分でも何言ってるかよく分かんない。

「頑張ってるけど? 笑わせないで!!それは自分の過信。勝てなきゃお姉さんたちより何倍も修行しなきゃイケないんじゃないの!!やりもしないで頑張ったのになんて言わないで!!!!!アタシだって妖怪に勝てないから修行してる。どのくらい修行すれば勝てるのか。皆藤家を守れるのかなんてわかんない・・・でも、修行をするしかないの。ディフカの努力はいつか報われるよ? 頑張ろうよ?」


アタシはディフカに微笑む。ディフカは膝を落とす。
うな垂れているようにも見える。アタシ余計なこと言っちゃったかな・・

「杏南様・・失言して申し訳ありません・・あたしは―、杏南様の言葉、しかと受け止めます・・・これからも気合いを入れてくださいませ・・・」


「もちろん、一緒にお姉さん見下そうよ。」

「はい・・・」

涙目になりながら頷く。アタシも同じような気持ちになったことがあるからよくわかるよ・・・? お兄ちゃん、お姉ちゃんと比べられて。挙句の果てに見捨てられる・・・
どことなく似た境遇だ・・・これは偶然だろうか・・・

アタシはディフカを泣き止ませる。疲れて眠ってしまった。
子供みたいで可愛い。アタシはディフカをおぶって屋敷に行く。
なんか、この五姉妹は何処と無くアタシに似ている。みんな・・・
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