ディア フレンド
「おっと、杏南。お前、風邪引いてんじゃねえの?」

アタシは間一髪で渉に受け止められた。
確かにここ数日、怒涛のように過ぎていった。自分でも気付かないうちに疲れが溜まっていたのだろう。
上手く力が入らない。アタシは渉の首に手を回す。

「!? おい///杏南?具合悪いのか?」

「大丈夫・・・多分いきなり霊力使い過ぎたから疲れたんだ。渉の腕・・・落ち着くね・・」


「お前・・・何でも1人で解決しようと思うなよ? 封鬼師のコト、有李栖とか・・俺とかに言えよ?・・いつか倒れるぞ?」



「ありがと・・少し休んでいい? メイドなのに・・何も、仕事・・・出来て、ないな・・・」

アタシはすうっと意識を手放した。渉の腕は温かくて・・・


渉side

俺は杏南を一先ず、自分のベットに寝かせる。コイツに封鬼師の仕事は荷が重過ぎる。
有李栖から大体のことは聞いている。
今日の修行の様子も全て見ていた。あんなに凄まじい業を扱うのは女である杏南にはキツイものがある。
何故、俺が隣城家に生まれなかったのだろう・・・
俺が杏南を守ってやりたいのに・・


俺は杏南に毛布を掛ける。そして、机に座り勉強を始める。
だが、杏南が気になって集中できない。
はぁ・・・こんなに部屋で2人っきりって。かなりキツイ・・

スー、スー、杏南の寝息が一定のリズムで聞こえる。人の気も知らねえで・・・

コンコンッ。ノックが聞こえる。ハヤテたち帰って来たのか・・
俺は内心ホッとしてドアを開ける。すると、


「あっ・・渉様、」

「ディフカ? どしたんだよ。」


「えと・・杏南様が見当たらないので・・・」


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