ディア フレンド
杏南side

ん・・アタシ寝ちゃったのか・・・渉のベット。
寝かせてくれたんだ。渉、机で寝ちゃってる・・
気を遣ってくれたんだね・・・アタシはベットから起き上がり、渉の傍まで近寄る。
そして耳元に口を持って行く。

「ゴメンね・・ありがと。」

アタシは自分の使っていた毛布をそっと肩に掛けてあげる。
寝顔・・久しぶりに見たな。時計を見る、まだ6時か。
夕飯作らないと・・
アタシは起こさないように部屋を出る。
そして、厨房へ向かう。厨房に行くと有李栖が冷蔵庫に買い物袋の中の物を入れていた。有李栖はアタシの気配に気付いたようで振り向く。

「杏南・・大丈夫?ハヤテに倒れたって聞いたケド・・」


「うん、寝たら回復したよ。夕飯アタシ作るよ、」

「わたしも手伝う。今日は・・・ロールキャベツ。」

アタシは頷くと早速キャベツを一枚一枚茹でていく。
ロールキャベツは久しぶりに作るなぁ・・・
有李栖は何処と無く悲しげに餡を作っていく。
ディフカのこと気にしてるのかな・・・

「有李栖、どしたの? 元気ないけど・・」

「えっ? な、何でもないのです。元気満々なのです」

作り笑い。何故か人が無理をしてるときは直ぐに分かる。
無理しないで言ってくれればいいのに・・・

「無理しないで。気にしてるんでしょ?ディフカのこと」

有李栖はすぐに元の悲しそうな顔に戻ると俯いて餡をこねる。
やっぱり図星だったみたいだ。

「あの子があんなに思い詰めてるなんて知らなかった・・わたしあの子たちとは長い付き合いなの。なのに、3日前に知り合った杏南のほうがちゃんと見てた・・・」


有李栖の頬からは一筋の涙が流れる。500年生きていれば見失ってしまうこともある。自分の使命、使役たちの管理、封鬼師育成、補佐。
目まぐるしく流れる時間をただ同じことを繰り返して過ごす。
アタシには考えられない。そんな辛い宿命を背負う。
アタシはキャベツをほったらかして有李栖を抱き締める。
有李栖は多分驚いて固まっている。無理も無い、急に抱き締められたら誰でもそうなる。


「心配しないで。ディフカもね、気にしてないみたいだから・・アタシが寝てるときにテレパシーで言ってくれた。」

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