ディア フレンド
ふと鏡を見ると別人が座っている。
誰?この人・・・あっ?アタシなの?
クリーム色で可愛く内側にカールが入ってる。そして、メイクまで施されてる。
なんか、アタシってこんなに目ぱっちりしてたか?
しばらく髪をいじられていると有李栖が手を止める。
そして、今日1番の笑顔を見せるとアタシの肩に両手を置く。

「完成なのです!!ハヤテ様たちに見せに行くのですよ。」

有李栖はアタシの背中を押しながら、階段を下りる。
ホントにこの子は元気だなぁ・・・アタシは痛いほどわかった。
トントントン。
階段を勢いよく下り、先程の大広間に入る。
すると、お兄ちゃんたちは目を丸くしている。
当たり前だ。さっきとは別人になっているのだから・・・

「杏南?・・お前、変わり過ぎ・・・・何ていうか。女になったよな?」

ムカッ。アタシは咄嗟に回転蹴りをすん止めで食らわせる。
アタシはこいつに言われるのが1番ムカつくのだ。

「アタシは女です。男だと思ってたのかなぁ?」

アタシは笑顔で低い声で言い放った。自慢じゃないがアタシは男相手でも
普通に倒せる自信はある。
アタシは一応、剣道・空手の有段者だ。負けるわけがない。

「お前なぁ・・・格好は可愛くても中身が、な?」

「1発食らいたい? アタシこの格好でもいけるけど?」

「杏南ちゃん・・・見えるよ//」

ハヤテお兄ちゃんはアタシを見ないように言う。顔は林檎のように真っ赤だ。
どうしたんだろう。ふと、アタシは自分の姿を見る。背中のチャックが前開になっている。
つまり、ブラのホックが丸見え。

「うわっ// す、すいません///」

アタシは慌てて背中のチャックを上げようとする。が、テンパり過ぎて上手く
上がらない。すると、有李栖がそっと閉めてくれた。
その後、変な空気が流れて誰も口を開かない。
その沈黙を破ったのは有李栖だった。

「杏南。いろんな意味で頑張るのですよ。今日はとにかくゆっくり休むのです。
明日からお仕事と修行を始めるのですよ。」

そこ言葉で2人は自分の部屋に向かう。外を見ると、もう月が顔を出していた。
有李栖は最後にアタシの部屋を案内してくれた。
アタシの部屋は1階の大広間の隣。有李栖いわく、すぐ仕事が出来るようにだそうだ。




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