ディア フレンド
はぁ・・

「紗羅、どうしたんだ?具合悪いのか?」

遥妃が声を掛けてくれる。うちはゆっくり顔を上げる。
遥妃が心配そうに見つめて来る。
こんなこと、言いたくない。だって言ったら泣いてしまいそうだから―。

「大丈夫、少し遊び疲れただけ。」

うちはちらっと後ろを向く。そして、また前を向く。
渉くんと杏南が仲良さそうに話してる。
うち、諦めた方がいいのかな・・・

遥妃がちらっと後ろを向く。そして何かに気付いたようにうちの肩に手を置く。
そして、声を潜めて話し始める。

「皆藤のことか?」

核心を突かれる。遥妃を欺き通す自信がないので正直に告白する。
遥妃は黙って聞いてくれる。
うちの声は震えてるのかな・・

「まぁ、杏南は可愛いし、それを鼻につかないからモテる。でもな―、紗羅。お前には杏南に持っていないものを持っているんじゃないか?」

「えっ?・・そんなの、ない・・」


「必ずあるんだよ。それを見つけるんだよ。それを武器にすれば勝因はあるんじゃないか?」

遥妃はそれを言い残すと廊下に出て行った。
杏南に無くてうちにあるモノ・・・
遥妃は意味深な発言ばかりでよくわかんないけど、何か分かった気がする。
もう少しアピるの頑張ろうかな・・

キーンコーンカーンコーン。

チャイムが鳴る。杏南もうちの後ろに座る。そして、直ぐ担任が入ってくる。
それからホームルームをしてすぐ1時間目。
1時間目は国語、今日は詩。
表現技法のチェックテストをして、授業を進める。
うちは国語の点数は学年トップの有李栖と同じ。
それは自慢出来る。あんま、授業を聞かなくても大丈夫な教科だ。


キーンコーンカーンコーン。

もう1時間目が終わる。2時間目は自習だ。
とりあえず、寝ていよう。
うちは机に顔を伏せ、寝始める。
目を瞑っても思い浮かぶのは渉くんと杏南のこと・・
なんか、片思いって切ないよね・・・






キーンコーンカーンコーン。

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