ディア フレンド
杏南に言っちゃった。
でも、これで少しは配慮してくれるかな・・
うちは少し複雑な気持ちで杏南と会話を続ける。
でも、話す内容は渉くんのこと。
杏南はうちの知らないこと、たくさん知っていた。
それはそれでなんか、切ない。


杏南side

紗羅の思いを知ったアタシは何とか力になりたいと思う。
でも、アタシは恋を今までそんなにしたことがないから何を言っていいか。
よくわかんない。1番最近でいつ、恋したっけ?

キーンコーンカーンコーン。



4時間目のチャイムが鳴る。
アタシは授業そっちのけで恋について考える。
うーん・・どうすればいいのかな・・・やっぱ、自分のことをアピるのがいいよね?
自分の趣味や、性格。人の感情って厄介だよね・・

アタシ、初恋いつだっけ? あぁ、ハヤテお兄ちゃんか。
確か、告白してはぐらかされたんだっけ・・・
それ以来なんか、剣道に出会ってそればっか。
婆っちゃに呆れられたっけ・・『中学になって恋の1つでもしてみろ』って。
アタシ今、誰が好きなんだろう・・意識しても誰も思い浮かばない。

なんか悲しい人生だねぇ・・封鬼師で忙しいからしゃあないか。
自分の思いより人を守るほうが重要だよねぇ・・
だって自分にも被害あるし・・紗羅たちのこと守るって決めたし。

でも、アタシって綺麗ごと並べてるだけなのかな・・


キーンコーンカーンコーン。

いろいろ考えてる内に4時間目が終わる。
給食か・・・っても弁当だけど。
アタシは遥妃と向かえあわせになる。遥妃は呆れたようにアタシのおでこを軽く叩く。

「お前、ずっと何考えてたんだ?授業上の空だったぞ?」


遥妃は弁当を広げながら問い掛ける。アタシも弁当を広げる。
今日はオムライスなのだ。と、言っても有李栖に作って貰ったんだけど。

「杏南、聞いてんのか?」


「聞いてる。ちょっと恋について、ね?」

「杏南は恋したことあんの?剣道ばっかやってたんじゃないんだぁ?」


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