ディア フレンド
「失敬だな!アタシだって恋の1つでもしてるし。」


「誰ですか?わたしも杏南のそういう関連の話は聞いたこと無いのです。」

「確か・・小学校1年生のとき、ハヤテお兄ちゃん。」


「お兄ちゃん!? 禁断の恋なのか!? なんか凄いんだな・・・杏南も意外に隅に置けない奴なのだな。見直したぞ☆」

「遥妃、勘違いなのです。ハヤテは渉のお兄さんなのですよ。」


「なぁんだ。つまんないの。でも、渉くんのお兄さんってカッコイイよね?頭良さそうだし、優しそうだし。」


「コクったけどなんか、はぐらかされたんだよね・・・」

「どんな風に?」


「えっと・・『杏南ちゃんにはもっといい人がいるから・・』的な感じ?」


「なんか、切ないね・・それがトラウマ的な?」

「さぁ・・それ以来好きな人いない気がする。でも、1回だけ5年生のときクラスの人好きになった。」


「あぁ、玉置くん、だっけ?」


「よく覚えてるね・・アタシ忘れちゃったし。」

「杏南もそんなに可愛いのに勿体無いんだな。少し見渡せば付き合うことは可能だぞ。」


「そんな・・好きになった人以外とはヤダな・・」


「杏南は純粋なのですね、でもそういう考えは悪くないのです。大切にして下さい。」

アタシは恋はどうでもいい感情だと思っていた。
でも、遥妃や紗羅の恋の話を聞いている少し楽しそうに思えて来た。
ふと時計を見るともう昼休みの時間になっていた。
はぁ・・次は英語か。英語は得意だ。ちょっと嬉しいな。

そう思いながら片付けていると伶哉くんが近くに来る。
紗羅が遥妃を見ながらニヤニヤしてる。
遥妃は少し俯き気味でいる。遥妃は伶哉くんだっけ・・
伶哉くんはアタシの前に立つ。アタシに用かな・・

「杏南。ちょっといい?」

「う、うん」
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