ディア フレンド
「後々キツイって?どんな風に?」


「だって別れた後友達に戻れないかもしれないから・・」

「そっか。でもさ、何かアクションを起こさないと何も変わらない。恋とか愛とかアタシは語れるほどの経験はない。でも、何か勇気を出さないと変わらないこともあると思うよ?」

アタシは実際、何かを起こして失敗する方が気持ちいいと思う。
だって自分に後悔しなくて済むのだから・・・
伶哉くんはふっと笑みを浮かべる。
それは悲しそうな嬉しそうなただ見ただけではよく分からない表情。
でも、何か吹っ切れたような表情にも見て取れた。


「杏南には敵わないな・・・渉の言った通りだよ。ありがと、」

「アタシは言うことしか出来ないもん・・所詮は綺麗ごとに過ぎないもの・・」

アタシは立ち上がり窓の方へ行く。
太陽が励ますかのようにアタシを温めてくれる。
はぁ・・・太陽を見て思わず溜め息が出る。


「綺麗ごとでもそれで救われる人はいる。現に俺も、渉も紗羅も・・みんな救われてんだよ・・お前は、太陽のような存在だよ?」


太陽、か・・太陽は地球に近過ぎないからアタシたちが生きていられる。
近すぎたらみんな融けてしまう。遠すぎたら凍えてしまう。
そういうニュアンスなのかな・・
アタシはなかなか元気になれない。伶哉くんは椅子から立ち上がる。
そして、アタシの前に立つ。

ポンっ、伶哉くんの大きな手がアタシの頭に乗る。
そして、優しく撫でてくれる。なんか、懐かしいような。
不思議な感覚になる。思わず涙が出そうになる。

「大丈夫だから、お前はいつものように笑ってくれよ。笑顔のほうがいいんだから」


「/// ありがと、もう大丈夫だから・・・」


「あの・・・会議したいんだけど?」


ふと入り口を見ると3組の池野くんと2年生が気まずそうに立っていた。
伶哉くんは恥ずかしそうに手を離す。
アタシはとりあえず近くの椅子に座る。
みんなも静かに各自椅子に座る。そして、2年生が立って黒板に何か書き始める。
池野くんが立って話し始める。

「さて、今日は体育祭のことと隣城さんの自己紹介をします。隣城さんどうぞ、」


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