ディア フレンド
えっ。急に話を振られて戸惑う。とりあえず椅子から立ち上がる。
なんか話さないといけないよね・・・

「えっと・・今日から生徒会副会長になります。4組の隣城杏南です。この学校のことあんまりよく分からないけどよろしくお願いします。」


パチパチパチ。幸い拍手が起こってくれた。アタシは早々と椅子に座る。
そして、池野くんがまた淡々と話し始める。

「えっと、これから体育祭のことについて話し合います。内容に関しては・・」


そこから黒板に2年生が書きながら池野くんが話す。
1通り話し終えるといろいろ意見が出される。
いつもはおちゃらけてる伶哉くんもちゃんと意見を出し、会長らしさを出してる。
アタシも付いて行こうと必死に意見を出す。
結局、30分の会議の結果、運動会チックなものになった。
内容は先生とコンタクトを取りながら話し合うみたいだ。
今日はそれで一応、終了。メインは話し合いよりアタシの自己紹介だったらしい。

「さて、今日はこれで終わります。」

アタシは鞄を持つ。今日は一応、体育があったので陸部には行けそうだ。
どうせだからここで着替えよう。
アタシは鞄から体育着を取り出す。
そして、ブラウスのボタンを外し始める。
伶哉くんたちはもう既にいないので安心だ。

「あっ。忘れ物しちゃった・・あっ、すみません・・杏南さん。」


「あっ、いいよ。ゴメンねここで着替えちゃって・・」

「いえ・・失礼しました。」


2年生の女の子が赤い顔しながら出て行く。なんか気まず・・
アタシはさっさと着替え、グラウンドに急ぐ。

タッタッタッタ。階段を軽快に下り、玄関に行く。
しまった・・・ローファーで来ちゃった・・
何とかしないと・・アタシの靴棚の中に袋が入っていた。
なんだろう・・・中を開けてみると都合よくシューズが入っていた。
手紙も入っていた。遥妃だ・・

『しょうがないから靴貸してやるよ。明日持ってきてよ? 遥妃。』

いい奴だ・・ああ、涙が出そう。アタシはそれに履き替えダッシュでグラウンドに行く。
グラウンドには案の定、陸部の人たちが各自ミニハードルやラダーを使って練習をしている。幅跳びや高飛びの人が跳んでいる。凄いなぁ・・・

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