ディア フレンド
「キイム!? なんで許可したの!?杏南には・・」

「有李栖様、お言葉ですが杏南様はもう妖怪【スポク】を倒し、封鬼師の資格を取りました。なのでこれくらい出来ます」


「もし、杏南が支配されたら・・」


「大丈夫です、杏南様は・・波留華様の妹なのだから・・・」


2人の会話は聞こえない。もう少しで使いこなせそう・・・
アタシは心臓を押さえながらふと空を見上げる。
今なら業を打てる。白虎、お願いだから言うこと聞きなさいよ・・
必死に自我を保ちながら、両手を広げる。
そして、空に向かって唱える。


「壊覇珠裂(かいはじゅれつ)!!!」

すると、ずっと保っていた何かが壊れる。
無数の槍のようなものが空に向かって解き放たれる。
そして、アタシの中にいた白い虎がアタシの前に現れる。
思っていたより大きい。2メートルはあるだろう。
虎はキイムの元へと歩き、キイムにじゃれる。
猫のようで可愛く思える。これがアタシの中で【アタシ】を支配しようとしていたのか・・

「この子は杏南様を認めてくれました。これでこの修行は合格です、」

百虎はアタシに歩み寄ると鼻を寄せてくる。アタシはそれに答える。
首を撫でてやるとゴロゴロと喉を鳴らす。
こういうとこはネコ科なのか・・

「杏南・・大丈夫か?」


渉がアタシに駆け寄って来る。その瞬間、大人しかった百虎が威嚇する。
渉は反射的に後ずさりし始める。

「大丈夫、この人はアタシの友達・・怖がらないで。」


そっと囁く。百虎はすうっと大人しくなる。
いうことは聞いてくれるんだな・・可愛い。
渉はゆっくりアタシに近付く。まだ百虎に警戒しているのだろう。


「凄いな・・虎まで手なずけるなんて・・・」


「うん、渉心配してくれたの?」

「えっ?/// まぁ、お前だって見掛けより強くないから・・・」


「アタシは強くない、か・・・今日はこれで終わる。キイム、今日は一緒にお風呂覇入ろう・・」

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