ディア フレンド
杏南side

「へっくしゅん!」

ドアに目を向ける。すると、渉がエプロンをしてお盆を運んでいた。
お盆のものはいいとしてその格好はどうかと思うケド・・
渉はアタシの机にお盆を置く。そして椅子に腰掛ける。

「俺が作ったんだぜ。お粥、腹減ったら食えよな♪」

「ありがと・・ちゃんと食べれるよね?・・」


「失敬だな!俺だってお粥くらいは作れるわ。
有李栖やお前には負けるけどな。」

渉はお椀をアタシに差し出す。見た目は普通のお粥だ。
湯気が立っていて美味しそう。匂いも大丈夫。
さて、試食してみますか。
アタシはスプーンで1すくいし、湯気を冷ます。
フーフー、はむッ。もぐもぐ・・

「どう? 上手い?不味い?」

「はつっ・・でも、美味しい。」


「ホントか? 無理すんなよ?不味かったら・・」

「美味しいよ、熱かったけど。渉、ありがとう。」


熱かったのはホントだけど味はホントに美味しかった。
渉でもちゃんと作れるなんて。ちょっとびっくりだけど・・
渉は嬉しそうに鼻を掻く。照れてるみたいだ。
アタシはお腹も空いていたので完食した。普通に美味しかった。

アタシはお椀を机に置く。いい加減エプロンは外して欲しいな・・

「渉、予習しといたほういいんじゃない?英語と理科は進むんでしょ?」


「えぇ・・勉強すんの~。折角休んだのに・・」

「もう少しで休み時間でしょ? 
理科と英語終わってるから聞いて勉強したほういいんじゃないかなぁ?」


「へいへい。電話で聞きますよ~。」


渉はアタシの机に座り、理科と英語の教科書、ノートを広げた。
渉は急いで携帯で有李栖に電話する。そして、教科書を見ながらどこまで進んだのかをちゃんと聞く。一応、勉強をしようとしてるんだね。

「おう、サンキュ♪ えっ?・・そんなことしねえよ。あぁ、じゃあな。」

ピッ。渉は電話を切ると勉強をし始める。
アタシは前に読みかけていた本の続きを読むことにした。
しばらくの間、沈黙が流れる。アタシは本に夢中になる。
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