ディア フレンド
本を読んでどれくらい経っただろう。
未だに静かな部屋。外で風が吹いてる音くらいしか聞こえない。
渉にしては結構勉強してるじゃない。
アタシは一度本から顔を上げる。
首を左右に傾ける。コキッ、首がちょっと痛い・・
机に目を向けると渉がシャーペンを持ち、ちゃんと勉強をしている。
いつもこんな調子だと良いんだけど・・

渉はアタシの視線に気付くと少し頬を赤らめる。

「なんだよ/// 具合悪いのか?」


「真面目にやってるなって。珍しいよね? 」

「だってお前うるさいんだもん。俺も今は暇だし、」


「ゴメン、邪魔して。でも、アタシは本読んでるより渉と話したいなって・・」

有李栖にこういうことを言うと渉が喜ぶからって言われた。
今日は渉が優しかったので喜ばせようと思った。
こんなに優しい渉も珍しいし、なんかアタシのために休んでくれたから・・・

「えっ・・? あっ・・お前今日・・か、わ、いいな・・」


「えっ// あっ・・だって風邪引くとなんか優しくして欲しくなるから・・」

渉の顔は林檎のように真っ赤で目もアタシから逸らしている。
アタシも『可愛い』なんて言われ慣れてないからどうしていいか分からない。
多分、顔はめっちゃ赤いと思う。なんか変な空気が流れる。
また沈黙が流れる。 どうしよう///

ピンポーン。チャイムの音。誰か来たみたいだ。

「あっ、誰か来たみたいだな/// 俺見て来るよ。」

渉はすっと立ち上がり部屋を出る。なんか良かったような・・悲しいような・・
アタシは携帯を開き、時間を確かめる。4時か・・
もうみんな帰ってくるのかな・・でも部活あるよね?

コンコンっ。

「杏南、有李栖たち来たから入れていい?」


「うん、いいよ。」


ガチャ、ドアが開くと渉を先頭に有李栖・紗羅・伶哉くん・遥妃が入って来る。
なんか大人数だな・・みんなは入って来るや否や笑顔になる。

「おお、元気そうだな♪」


「うん。まだ微熱あるけど大丈夫。」



「今日杏南いなくていろいろ大変だったんだよ。チーム決めとか・・」

「ゴメン、ちゃんと明日行くから。」


「英語の単元テストサボれて良かったな。特に皆藤はね。」

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