ディア フレンド
それから1時間くらいその日の出来事やら勉強の内容を聞き、紗羅・伶哉くんは塾、
遥妃は買い物と言ってみんな玄関に出る。
アタシも見送りに玄関に出る。もちろん、有李栖・渉も見送りに来る。

もちろんアタシはパジャマなため、ブランケットを羽織って出る。

ガチャ、「じゃぁ、元気な姿見たら安心したよ♪明日は来てよね。」


「勿論、行くから。部活も出るからねん☆」


「無理すんなよ?じゃあな。」

「皆藤、杏南に何もしてないだろうな? 何かしていたら・・分かるよね?」


「何もしてねえよ。例の件、考えとけよ?」

「言われなくても検討している。紗羅とも相談しているのだからな。」


「じゃあ、よろしくな。俺も買っとくから。」

遥妃はアタシに手を振り、去っていく。
さっきから何を話しているのだろうか・・気にはなるがあえて聞かないで置こう。
3人がいなくなり、アタシたちは大広間に向かう。
椅子に腰掛けると渉がすかさず体温計を取り出す。
そしてアタシに手渡す。そんなに心配するほど熱ないんだけどな・・
アタシは体温計を脇に挟む。


「ちゃんと熱計っとけ。今日は修行出来ねえだろ?」

「出来る!少しずつ慣らしとかないと妖怪【スポク】と戦えないもん。」


「でも・・有李栖、お前はどう思う?」

「どのくらい熱が今の段階であるかで判断するわ。」


「杏南が倒れたらあぶねえじゃん・・」


「本人の自己管理に任せるわ。今日の熱は多分、
短期間で霊力を使い過ぎたから。
初めて戦った緊張と霊力の減少。慣れていけばもう上がらなくなる。」


渉は納得いかない様子だったけど、有李栖の理論(ロジカル)的攻撃に
歯向かうのを止めた。有李栖に理論(ロジカル)で勝負をしようとするのは
ウサギがライオンに立ち向かうくらいの無謀さだと思う。

ピピッ、ピピッ。
体温計が鳴る。アタシは素早く脇から体温計を取り出す。
そして、結果を見てみる。


「37度1分。これはどうするべき?」

有李栖が少し考え込む。そして、何かを思いついたように顔を上げる。

「今日は基礎を学ぶのはどう? これだった無理しなくていいし、
渉も安心でしょ?」


「えぇ・・勉強なのぉ~・・・」

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