ディア フレンド
ガチャっ。やっと玄関に着いた。
そのまま大広間に行く。トゥラムが椅子を持って来てくれる。
アタシはゆっくり腰掛ける。明日また学校危ういな・・

「治癒能力を使うから、杏南。服脱いで」


「上だけ? まぁ、ワンピースだからドンマイか・・・」

アタシは痛む背中を庇いながらゆっくり服を脱ぐ。
自分ではどうなっているか分からない。
でも、トゥラムが小さく悲鳴を漏らす。
そんなに酷い傷なのかな。まぁ、すんごく痛いんだけどね。

「お~い、有李栖。風呂出来たけど・・・」


渉がアタシの状態に気付かず、入って来る。
えっ?・・アタシ、ブラのホック外してるんですけど・・
アタシは今、ブラのホックを外し右手で胸を抑えている状態だ。

「有李栖・・なにやってんだ・・・・?
えっ・・!? 杏南!? お前なにやってんだよ!?」


「渉様、目を逸らせ下さいませ! 杏南様は先程戦いになって
背中に大怪我をしておられるんです。
なので治癒能力で怪我の治癒を早めているのです。」


渉はアタシに背中を向けている。アタシもびっくりした。
恥ずかしい/// アタシは背中が凄く痛いので何も出来ない。

「・・/// そういえば玄関血が付いてたな・・大丈夫か?」


「大丈夫じゃない。気力で立ってる状態。
とりあえずそのままね。見たら蹴り落とすよ?」


「ああ・・お前って意外とさ。胸・・でかいよね?」


「ホントに蹴られたい? まぁ今は痛いから
無理だけど・・」



「ホントに無理すんな・・俺、お前のこと心配なんだよ・・」


「心配してくれてありがとう・・
でも、渉たちがいるから戦えるんだ///
だから、・・ずっと・・・その。・・」


アタシは1番言いたいことが言えない。
渉の存在は1番大きい。だって1番近くて・・・
アタシは言葉に詰まってしまった。この先がどうしても言い出せない。


急にアタシの頭に手が乗る。
渉が恥ずかしそうにアタシの頭を撫でている。
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