ゴキーラ
ゴキーラ
ある星の僅かに残った、人間でも生きられる恵み多い場所に60人ほどが肩を寄せ合って暮らしていた。彼らの最大の心配の種は、いつそこまで迫った人類滅亡の日が訪れるかと言う事だった。何かその兆候らしい事が起こる度、彼らは肩を抱き合い、慰め合った。彼らの心の支えは、同じ運命を辿る仲間であり、そして先祖代々引き継いで来たコーラだった。
そしてある日、60人のためにコーラを作り続けていた平野コーラ社長の平野は、ある決意を固め、バイオテクノロジーを活かしてこの鬼気を乗り越えられないかと研究しているジョンソンと言う人物を訪ねた。彼を選んだ訳は簡単だ。この期に及んで残された時間を自分や家族のために使いたいと考えていなかった学者は彼だけだったから。だから、他の分野の学者でも良かったのだ、彼の目的さえ果たせるなら。
「この星の人々が心の支えとしているコーラを、なんとか人類の役に立てられんものでしょうか」
「妙案ですね。実は私は今、ゴキブリの生命力の強さに注目していましてね ーー」
それから間もなく、平野コーラの新製品ゴキーラが発売されたのである。そして人々は、そのラベルの文句に飛びつき、中身の黒茶っぽいつやつやした液体を貪り飲んだ。
そしてある日、60人のためにコーラを作り続けていた平野コーラ社長の平野は、ある決意を固め、バイオテクノロジーを活かしてこの鬼気を乗り越えられないかと研究しているジョンソンと言う人物を訪ねた。彼を選んだ訳は簡単だ。この期に及んで残された時間を自分や家族のために使いたいと考えていなかった学者は彼だけだったから。だから、他の分野の学者でも良かったのだ、彼の目的さえ果たせるなら。
「この星の人々が心の支えとしているコーラを、なんとか人類の役に立てられんものでしょうか」
「妙案ですね。実は私は今、ゴキブリの生命力の強さに注目していましてね ーー」
それから間もなく、平野コーラの新製品ゴキーラが発売されたのである。そして人々は、そのラベルの文句に飛びつき、中身の黒茶っぽいつやつやした液体を貪り飲んだ。