黒い太陽
プロローグ
青すぎる空、白い雲。
何かを掴みたくて、天に向かって必死に手を伸ばした。
――だけど。
あたしの手じゃ小さすぎて。
きっと何も、掴めない。
きっと何も…‥。
「…あ、セミ…‥」
吐き気がしそうな程眩しく輝く真夏の道で。
くだらない世界の片隅で。
わずかな生涯を終えた蝉が息絶えていた。
「ねぇ、アナタは自分の人生を、自分で生きたの…‥?
あたしは――」