お姫様の秘密



「陽菜…っ」



成弥がやっと私の名前を呼んだ。

それだけで、私の中のモヤモヤとした不安が消してくれる。


成弥…



「…成弥?」



大丈夫。

私には成弥がいる。


私は、隣にいる成弥の手を握り返した。



「…悪い、もう行くから」

「え?」

「陽菜が用事あるんだ」

「あ、そうなんだ?
優しいね、成弥」



そう言ってレイちゃんは、目を細めた。

成弥は、そんなレイちゃんの言葉に返事をするわけでもなく、歩き出した。


…………あれ?


歩き出した、は良いもの…



「…成弥?」

「ん?」

「私…別に用事なんてないよ?」



週番のはずないし…

成弥、何か勘違いしちゃってるのかな?



「…陽菜」

「うん?」



足を止めた成弥は、じっと私を見た。


何だろ…?



「…キスしたい」

「なっ…!?
ここ学校だよ!?みんな見てるって!」

「分かってる」

「え?ちょ、成弥?」



校庭の隅で…

私は成弥に唇を奪われた。



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