君の影をみてる〜幼なじみの恋〜
「ヤダ!」

慌てて突き放し、立ち上がる私は、

「ご、ごめん!」と

一歩、踏み寄る恭一から、
本能的に、一歩、遠ざかっていた。


「…未知?大丈夫か?」


そんな恭一の言葉に、うなずいてはみせたが、

「ごめん。あたし…」と、付けたした。

でも、何も言葉が見つからない。


恭一が、自分の頭をクシャッとかいて、
ため息を吐いてみせると、

つられて私も、大きく深呼吸をして、胸の鼓動を鎮めようとした。


「ごめん!俺…ホント」

恐る恐る声をかけてきた恭一は、

「今日は帰る!」と

走って出て行く私を、
追い掛けはしなかった。
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