君の影をみてる〜幼なじみの恋〜
次の朝、
支度を整え玄関を出ると、
恭一が、壁に寄り掛かって待っていた。

「おっす。」

私に気付き、姿勢を正してみせたが

「おはよ」とだけ言って、

私はその横を通り過ぎる。

「ごめん!ホント悪かった。」と、

謝りながら、ついて来られるのが恥ずかしい私は、

立ち止まって振り向き、小声で言ってやった。

「どういうつもり?」

すると、

「許してもらうつもり。」

「ちっがう!…この前こと…なんなのアレ?」

言葉にするのも恥ずかしく、辺りを見渡す私。

「なんでかって…朝から聞きたい?…男のぉ」

「あー、イイ!」

「今度こそ嫌われた?」

「…ちょっと、ビックリしたの。いつものきょーちゃんじゃなかったから…」

言うことだけ言うと、
再び私は、スタスタと歩きだす。

「あのさ〜、しばらく会うのやめよっかぁ?」

唐突な恭一の言葉に、私は、勢い良く振り返った。

「ちょうど春休みになるしさぁ。」

「…どのくらい?」

「それは、まかせる!」

恭一も歩きだした。

「どういう意味?」

「だって俺、今、反省中の身だから…。だろ?」

走り去る後ろ姿…その日の学校での私は、
自然に振る舞う恭一が気になり、
いちいち目が追っていた。
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