君の影をみてる〜幼なじみの恋〜
ホームに降りてすぐに、恭一のもとへとめざした。

「お待たせ〜。」

のん気に近づく私に

「今の誰?」

何の事かわからず、

「誰?」と聞き返すと、

「今、話してた奴。」

「あ〜、話してたって、傘をとってくれたから、お礼言っただけだよ。」

「…」

「もう〜、心配性なんだから〜。」

恭一は何も言わず、改札へと歩きだした。

「あれ?」

ふざけすぎたと、慌てて後を追いかける私。

「待ってよ〜。(今日は機嫌が悪いのかな?雨だから?でも、そのおかげで、こうやって会えてるのに)」

恭一を目で追っていて、他の通行人とぶつかり、ヨロめいた私の、

「あ、すみません!」の声に、

とっさに振り返った恭一の、
心配そうな表情は見逃さなかった。

「…もう、何怒ってんの?」

それでも、何も言わない恭一だったが、
歩幅は、私に合わせてくれた。

「どこか、体調悪い?」

「…」

「ふーう。じゃあ、あたし帰ろっかな…。」

「知らない男に、あんな風に、愛敬振りまくなよ。」

「だって、親切にしてくれたから…」

「ただ、お礼言って、それで済むだろ。アレじゃ、勘違いされるぞ。」

「大げさなんだから〜。」

「つっ、もうイイや。」

「あ、ちょっと!」
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