君の影をみてる〜幼なじみの恋〜
進学早々、
恒例の体力測定が行われた。


これは、己の体力を認識するため以外に、
体育の成績にも関わってくるものなので、
案外、皆、真剣に取り組むものだった。


その結果を見るなり、
担任の本多は大興奮で、

「北村は何故、どこの部にも所属していないんだ」

と、大騒ぎ。

クラスに来ては、皆の前で
陸上部に勧誘したと言う。


「へー、で、きょーちゃんはどんな?」

「“何言ってんだ?”って相手にしてなかったよ」

「ひえ〜、相変わらずの恐いもの知らずだね」

「“そういうのは、先輩方に聞いてから言ったほうがいいっすよ”ってさ…
でもそれ、すごい説得力のある意見じゃね?」


話を聞きながら、私は秘かに、

“先生、あきらめないでエール”

を、送っていた。


そして、先生の熱心な説得が、
今だに続いているのか、
確認するかのように、
隆志から聞く事が、
部活の帰りの、私の日課になっていた。


そんな帰り道、
反対側の歩道に目を向けた私は、
見覚えのある顔を見付け、
思わず、二度見をした。


(懐かしい顔だ〜。木村くんの友達の〜、名前は知らないんだった)


そう、自転車二人乗りの運転してた子だ…
< 49 / 202 >

この作品をシェア

pagetop