君の影をみてる〜幼なじみの恋〜
(そう言えば、鈴ちゃんも隆志が好きだったっけな。でも、今は幸せそうで、何よりだ!…新井さんも、そうなってくれれば良いなぁ。それにしても、隆志は罪な男だ〜)

「鈴木さん!ありがとう!」

突然、手を握ってくる奈央に、驚く鈴ちゃんは、
私に疑問の顔を投げている。


今の今まで、鈴ちゃんを恋敵としていた奈央の
何かの糸が緩んだ瞬間だったに違いない。


ある程度ぶらつくと、
少し家が離れている私は、
ひと足先に帰ることにした。


賑わいを背中に、どんどん遠ざかって行くと、
自然と速足になっていく。

すると、後ろから足音が近づいて来るのが分かり、
怖くて、後ろも向けない私は、さらにスピードをあげた。

「おい!みっこ!」

聞き慣れた声に振り返ると、その正体は隆志だった。

「なんだー、隆志かー」

「ったく、よく独りで帰る気になったな。」

呆れ笑いを浮かべながら近寄る、
隆志の顔がハッキリと見える距離で、
その顔を見上げたまま、
じっくりと観察をした。

(ホントだ、優しい顔立ちしてるんだぁ。…背だって、こんなに高くなってて)

「ごめん!そんなにビビッた?」

「あ、大丈夫。」

我に返り歩きだすと、隆志は自然に並んできた。

「いつ来たの?」

「だいぶ遅れて…恭一のこと待ってたんだけど、アイツ疲れてるみたいで」

「そうだったんだぁ。」

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