君の影をみてる〜幼なじみの恋〜
「いつから居た?」と隆志が聞いた。

「ったく、騒いでっから気がつかねんだよ。」

「だって聞いてよ、隆志って凄くモテるのに」

「俺って昔から、欲しいものねだったこと事、あんま無いんだよなぁ」

「なんで?」

恭一も私も、声を揃えた。

「わかんねー。でも、我慢もしてないんだよ。ただ、なんでも自分のものにしたがる恭一の強引さは羨ましかったけど。」

「…なんだそれ?」

「それよりお前、疲れたって言ってたくせして、結局、出て来てんじゃん!」

「話が反れたゾ。」

「…俺、力と時間は、無駄に使えないタイプなんだよ。じゃあ!」

難しい言葉を残し、
隆志は去って行った。

「なんだアイツ!」

「気を遣ったのかな?」

「…」

「疲れてるんだからイイのに。」

「バスケ部でって聞いたから、やめておいた方が良いかと思ってさ。」

「なんだー。あたし、ずっと別行動だったんだよ。」

「ふ〜ん。」

「ま、いいや。今、一緒に居られてるし!」

「家、すぐだけど」

「今、何時くらい?」

「そろそろ9時くらいか?」

「そっかぁ、残念。」

「わり〜な…」

「何言ってんの!あたしこそノンキに…ごめん。」

「そんなのイイよ!」

「…!じゃあ、こうやって」と、

恭一の手を握って言った

「充電」

おどける私に、

「フッ。」

恭一はテレながらも、その手をつないだまま、
人通りの少ない道を歩いてくれた。
< 74 / 202 >

この作品をシェア

pagetop