君の影をみてる〜幼なじみの恋〜
「何って…」

「どした?なんか、うまくいってねーの?」

「ううん。がんばってるよ!あたしなりに。」

「…俺のこと?」

「ピリピリした空気、漂わせてるから…」

「俺だってマジになるときぐらいあるよ」

「!」

「まぁ、今、ちょっとスランプだから…」

「スランプ?」

「幅跳びがなかなか…距離、出なくてよー。」

「そうなんだぁ…」

「コーチに、今年は走りだけでって、そう言われると悔しくてさー。」

「はぁ、レベルが違うなぁ、やっぱり。あたしなんか、自分が選ばれるよう頑張ってるだけで…もう、補欠はヤダからさぁ」

「今年はなれんだろ?」

「わかんないよ!」

「そんな怒んなくても」

「だって、私からしたら贅沢な悩みだな〜って。」

「贅沢だあ!?」

「本当のことだよ!確実な方に集中しろって事でしょ?期待されたうえ、アドバイスしてもらえてさ!」

「人ごとだと思って…」

「あたしなんか、何が向いてるのか、いろいれ試させられて、これから篩にかけられるんだよ!そして結果が悪ければ、“やっぱりあっちにしておけば良かった”って思われるんだから…でも、きょーちゃんは自分で選べて、後悔するのも自分なわけでしょ!」

「だから悩むんだろ!」

「…」

「そりゃあ、両方チャレンジしてみたいよ!ムダでも結果が知りたいし!」

「…そうだよね。せっかく夏休みだって頑張ってたんだもんね。」

「それは、お前もだろ」
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