片恋の蒼
人差し指をたて悪戯っぽく笑う彼。
整った顔立ちに内宮君と反対な明るい茶髪。
不良っぽくは全然ないのに。
「……ごめんなさい」
女の先輩のうわずった声が鼓膜を揺らした。
先輩はなきながらこちらへ向かってきた。
隠れようとした時にはもう遅く、先輩は私を見て気まずそうに階段を下りていった。
「覗き?」
ボーっと先輩の背中を見送る私は内宮君の呆れたような声に現実へと連れ戻された。
「冬夜君、モテモテーーっ」
焦る私を置いて私の後ろから呑気な声が響いてきた。
な、空気読んでよ。
「貴司うるさい」