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ハジマリはいつもトウトツに
絵美ちゃんに初めてあったのは今年の4月だった。
2年生になって最初の日―クラス替えの日。
同じバスケ活の友達とグループをつくったわたしとは違って、絵美ちゃんはどこのグループにも入っていなかった。
絵美ちゃんは一人で本を読んでいた。
あーあ、かわいそう。
グループ入り損ねちゃってるし。
「明日音(アスネ)、何見てんの」
深秋(ミアキ)がわたしの隣に来て声をかけた。
「んー…あれ、絵美ちゃんだよね?かわいそうじゃない?」
深秋はチラッと絵美ちゃんのほうを見て、視線をわたしに戻した。
「ほっとけば?松藤さん、去年もあんな感じだったし。しょうがないよ、浮く人って必ずいるじゃん」
深秋の言うことにはちょっと納得できなかったけど、逆らわないことにした。
深秋は、なんというかこのグループの権力者の一人だ。
でしゃばったらやられる。
目立たないように、波風たてないように、機嫌をうかがっていれば大丈夫。
そうやってきた、つもりだった―