finder
ドリブルでゴールまで近づく。
あと二歩のところでレイアップシュート。
ボールはリングに跳ね返って、地面を叩く。
リバウンドを拾ってもう一本。
だけどさっき着地が悪くて体が流れて乱れて、そのまま尻餅をついた。
ダメだった。
また、ダメだった。
「ジャンプがダメ。体が流れてた」
「絵美ちゃん―…」
絵美ちゃんを見たらまた涙が出てきた。
「絵美ちゃん…話、聞いて」
絵美ちゃんは黙っていた。
表情一つ替えず、黙ってわたしを見つめていた。
「お願い……聞いて」
「わかった」
絵美ちゃんはわたしの手首を左手で掴んで強く引っ張った。
慌てて立ち上がった。
どんどん歩いていく絵美ちゃんの背中について行く。
掴まれた手首は痛い。
だけど、痛みの先にいる絵美ちゃんがすごく頼もしく見えた。