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ブランコに並ぶと絵美ちゃんはまたそれっきり何も言わなかった。

ただ淡々とわたしの話を聞いていた。

話終わってもしばらくは黙ったままだった。

それからゆっくり口を開いた。

「……知ってた」

「知ってたよ、そのこと」

絵美ちゃんは顔をあげてくれない。

どうして?

なんで知っているの?

「さっき、和真が教えてくれた」

絵美ちゃんはポツポツ話始めた。


絵美ちゃんはここに来る前、栗本くんに呼び止められた。

栗本くんは帰りにたまたまわたしのクラスの男子が話しているのを聞いたそうだ。

「……何とかしてやってくれって、言われた」

それで絵美ちゃんはここに来た。

「さっさと言おうと思った。もうバレてるとは思わなかった」

絵美ちゃんはまた黙ってしまった。

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