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　「絵美ちゃん、わたし怒ってない。悲しくて情けなくて悔しいと思うけど、広瀬くんのこと、怒ってない」

いつの間にか涙は引いていた。

「何それ」

絵美ちゃんはちょっと呆れたように笑っていた。

「なんか、許せないけど、怒れない」

そうだ。

わたし、怒ってない。

「でも、多分、広瀬くんを何も考えずに見ることはできない」

これも本当。

きっとしばらくは引きずる。

絵美ちゃんはふうんと言って顔をあげた。

絵美ちゃんはわたしを慰めたりしない。

きっと誰にたいしてもそうなんだろう。

深秋たちにこの話をしたら…どうしたかな。

いっぱい慰められて、それから広瀬くんの悪口言ってたかも。

わたしの本当の気持ちには、多分、気づかなかった。