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「和真、うっさい」
「絵美は言い方がキツいんだよ。ぜんぜん間宮さんに伝わってないじゃんか」
いつからそこにいたのか、栗本くんは絵美ちゃんと言い合いをしている。
栗本くんはわたしに向かって言った。
「間宮さん、絵美の言い方じゃ分かりにくかったろ?絵美が言いたいのはそういうことだから」
「……うん」
素直に頷けた。
絵美ちゃんの言ったことの意味がわかった、気がする。
そっか、わからないことも大事な気持ちなんだ。
「絵美は照れ屋なんだよ。誤解しないでくれな?悪気あった訳じゃないからさ、ほら、絵美なりのやさしさというか……」
知ってる。
そのやさしさはずっと感じてた。
「うん」
絵美ちゃんはあーっもうっと言って下を向いてしまったけど、きっとまた照れてるんだろうな。
大丈夫。
わたしは広瀬くんに向き直った。
「広瀬くん」
「はい」
言う。
ちゃんと全部言う。
「広瀬くんに告白されてうれしかった。…えっと、だから、悲しかった。あと、恥ずかしかった。それで、広瀬くんサイテーだと思った。それで……忘れたかった。広瀬くんに謝られて、変なこと言ったって言われてすごく…惨めで嫌だった。だから謝らなくていい。わたし、怒ってない。ただ、嫌だった…」